医療用・研究用冷蔵庫の選定

Liebherrの研究用保冷庫

医療分野で使用されている冷蔵庫は、主に研究用と薬品用に分かれています。 これらの冷蔵庫は、衛生的に優れており、また温度制御に関しては特に信頼できます。 一部のモデルは、自動霜取り機能や強制空気冷却システムも装備されてます。

• 研究用冷蔵庫 : 主にサンプルや試薬の保存に使用されます。 研究用の冷蔵庫は、交差汚染または揮発性物質が爆発するリスクを最小限に抑えるために、一定の温度を維持する必要があります。 そのため多くの場合、冷蔵庫内の空気を循環させて温度を保つためのファンが付いています。 このファンはドアが開くと停止し、冷蔵庫から冷気の排出を防ぎます。 またこのタイプの冷蔵庫は、交換汚染を防ぐために別々のコンパートメントを持っています。 血液やワクチンなども冷蔵保存できます。 血液を保存するためには、研究所や血液銀行で使われている「血液銀行用冷蔵庫」を使用します。

• 薬品用冷蔵庫 : 薬やワクチンの保存ができ、 信頼性の高い冷却機能と温度の安定性を提供します。 アラームは、停電中や冷蔵庫のドアが開いたままになっている場合に、内部の温度を上昇させないために不可欠です（特に夏の時期）。 また0℃以下の温度に対する安全装置もあります。薬用保冷庫には、敏感な薬用にロックシステムが搭載されているものが多いです。

Dulasの大型箱型冷蔵庫

冷蔵庫の容量、温度範囲、構成、ドアの数と種類などを考慮して選ぶことをおすすめします。

• 容量: 容量は、冷蔵庫の選択に非常に重要な要素です。
• 温度域：これも冷蔵庫の選択に非常に重要な要素で、 大半の冷蔵庫はDIN 58345を基準に製造されており、2℃から8℃までの温度域です。
• 構成：利用可能なスペースに応じて考慮します。 一般的にキャビネットタイプ (縦型) が多く、大型箱タイプ (横型)はあまり見かけられません。 はめ込み式もあり、研究室の作業台の真下に配置することができます。 そのため容量は小さめです。
• ドアの数とタイプ:冷蔵庫のドア数は1つ～4つまであります。 モデルによっては、頑丈なドアとガラス製のドアがあります。

保管する製品は、人間の健康に害を与えるものがあるため、研究用冷蔵庫や薬局用保冷庫を選ぶ際には、使用者の安全性を考えることが大切です。 　 そのため、リスクを抑える機能を備えた冷蔵庫があります。

• 防爆 / 火花防止用冷蔵庫 : 爆発の危険性のある製品（可燃物、薬品など）の保管を目的とした冷蔵庫です。
• 遮蔽/鉛ライニングの施された冷蔵庫：放射性物質の貯蔵に適しています。 このタイプの冷蔵庫は、特に核医学に適しています。
• ロック式冷蔵庫 : ロック機能がある冷蔵庫は、危険で非常に高価な物質（麻薬、ワクチンなど）への不正なアクセスを制限することができます。

ほとんどの冷蔵庫には温度監視システムが搭載されており、適温を超えた時に鳴るアラームを設定することができます。

RFIDを搭載した冷蔵庫もあり、保存されているサンプルのコールドチェーンを管理することができます。RFIDを用いた冷蔵庫では、例えば血液バッグの保管温度や、冷蔵庫に出し入れする時間などを記録することができます。また手術や輸血で血液が必要な場合は、コンピューター検索が可能です。選択された血液バッグ上のLEDラベルは点滅し、スタッフが間違いのないように、取り出すべき血液バッグを教えてくれます。冷蔵庫へアクセスする権利を持つ人が、選択された血液バッグを取り出します。未使用の血液は冷蔵庫に戻され、血液バッグが冷蔵庫外にあった時間が自動的に記録されます。

最近の技術開発では、サンプルのモニタリングと保存を改善することを目指しており、コールドチェーンが維持されていることを保証し、証明することができなければなりません。

メーカーは環境に配慮した冷蔵庫を開発しており、 農村部や発展途上国で特に利用価値のある、バッテリーのいらない太陽光発電式冷蔵庫なども提供しています。

一部の地域では、電力へのアクセスが制限されていたり、頻繁にま停電が起こる場合があります。 ソーラー発電の冷蔵庫は、環境保護につながり、費用が多くかかるバッテリーを使用しないため、効率的です。 太陽エネルギー（ソーラーパネル）を利用して、水を凍らせることができ、 貯蔵された氷を使用して、太陽の出ていない夜の間や、天気の悪い日に冷蔵庫を冷えた状態に保つことができます。