試薬の選び方

試薬とは、化学反応を引き起こすための物質です。その用途は多岐にわたり、医療分野では、検査や混合物中の特定の物質の同定に使用されます。
試薬は主に固体か液体で、数多くの種類があります。反応は、色の変化、ガスの放出、沈殿物の生成など、試薬により異なります。

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  • 試薬にはどのような種類があるか?

    試薬は反応物質と区別する必要があります。 反応物(または基質)は化学反応中に消費されます。試薬は反応を開始するため、または反応が起こるかどうかを調べるために使用されます。 つまり、化学反応において同定や測定をする化学物質のことです。 同じ化合物でも、試薬または反応物とみなされることがあります。

    主な試薬の種類:

    • 溶剤
    • 触媒
    • 塩基(または水酸化物)
    • アルコール

    溶剤は、試薬を希釈または溶解し、反応液を得るために使用されます。 触媒は、化学反応を促進させるために使用されます。 水溶液中で、酸は1つ以上のプロトンを供与できます。 酸とは逆に、水溶液中の塩基は、1つ以上のプロトンを取り入れることができます。 緩衝液の場合、pHはほとんど変化しません。 アルコールは弱い酸で、プロトンを放出でき、溶剤や燃料、特にエタノールとして使用することができます。

    富士フイルム株式会社の緩衝液

  • 試薬の用途とは?

    試薬は一般的に研究所で使用されますが、移動先でも使用できるように、持ち運びができるタイプのものもあります。

    その用途は多岐にわたります:

    • 薬物検査

    試薬は、各種疾患のスクリーニング(例えば新型コロナウイルスなど)や、妊娠検査に用いられる臨床検査キットの基本構成要素です。

    薬物検査の場合、薬物がある閾値に反応するようになっており、閾値以上になると、陽性となります。 検出される薬物は、大麻、アヘン(ヘロイン、モルヒネ)、コカイン、クラックコカイン、アンフェタミンなどです。検査をする主な状況は、路上薬物検査、交通事故、アンチドーピング、交通犯罪への関与、職場などです。

    水質分析(上水、排水、工場排水)、土壌分析などの環境検査にも使用できます。

    また、例えばpHや血液ガスパラメータを測定する検査や、電解質の測定に使用することもできます。

    さらに、特定の食品の栄養価や、品質の判定などの食品検査にも使用されています。 農薬や重金属などを検出し、食の安全を確保するためにも使用されます。 このタイプの検査は、食品、飲料、農業分野に適用されます。

    RANDOX社の品質管理試薬

    ERBA Diagnostics社の凝固分析用試薬

  • 試薬の品質基準とは?

    試薬の品質基準は、純度、充填、保存期間の3点です。 これらにより、化学的安定性が確保されています。 この化学的安定性は、温度、湿度、微生物(バクテリア)、光への露出などの要因により変化します。

    • 純度:試薬は純度により区分されています。
      • 化学用
      • 分析用
      • 分光分析用
      • 品質分析用
      • 工業用
    • 充填:液体またはパウダー状の試薬は、バイアル瓶に充填されます。 汚染リスクを減らすため、ごく短時間の開栓にとどめ、使用後はすぐにキャップを閉めましょう。 容器から取り出した試薬は、絶対に戻さないでください。
    • 保存期間: 試薬をなるべく長く保存するために、涼しく(25℃以下)、乾燥した暗い場所に保管してください。 冷蔵保存が必要なものもあります。 大気中の汚染物質がバイアル内に侵入し、内部に残っている試薬と反応する可能性があるため、開封後は、有効期限が無効となります。

    試薬の品質基準は、主に3つあります:

    • 純度
    • 充填
    • 保存期間
  • 試薬はどのように保管するか?

    上記のように試薬は、一般的に低温で乾燥した光の当たらない安全な場所で保管する必要があります。

    保管に関する決まりは以下の通りです:

    • 低温下での保管:温度変化は化学的安定性に有害です。 また、高温になると危険な化学反応を起こしたり、加速させたりすることがあるので、保管温度には注意が必要です。 そのため、試薬の保管には科学・医療用の冷蔵庫や冷凍庫を使用します。
    • 乾燥した暗い場所での保管:湿度や光は、試薬の化学的安定性に影響を与えます。 そのため、湿気や光を避けられる、密閉されたキャビネットに保管することをおすすめします。
    • 安全に保管:危険な反応性液体および固体は、労働安全衛生規則や職場に特有の建築基準法・消防法に従い保管する必要があります。 また、試薬の種類によっては、防爆、耐火、耐腐食に特化した保管庫を用意する必要があります。
  • 試薬を取り扱う上での危険性とは?

    試薬の使用は、危険性を伴います。 一般的に、試薬の製品安全データシート(MSDS)を入手することが望ましいとされています。

    危険のタイプは以下の通りです:

    • 火傷や火災
    • 爆発
    • 腐食
    • 中毒
  • 危険を回避するためには、どのような注意が必要か?

    危険を回避するために重要なことは、適切な安全システムと装置を導入することです。

    以下は各安全システム・装置の例です:

    • アラーム
    • 消火装置
    • 自動スイッチ
    • 危険を回避するための情報の更新
    • 危険な反応性浮遊粒子状物質を除去するための換気システム
    • 管理者のみがアクセスできる、保管場所の施錠システム
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