保育器の選び方

TSE Medical社のキャスター付き保育器

保育器の主な機能は、酸素供給、観察、寒さからの保護です。

• 酸素供給： 呼吸窮迫症候群は、早産児の主な死因のひとつです。 また、生まれつき無呼吸を患っている子もいます。 そのため、新生児や早産児への酸素供給は、必要不可欠です。 保育器は、人工呼吸器に接続されているため、小型の鼻カニューレ、酸素マスク、酸素フードを使用することで、呼吸ができるようになっています。 また、持続陽圧呼吸療法装置(CPAP)が使用されることがあります。
• 観察： 赤ちゃんの体温、呼吸、心臓機能、酸素濃度、脳活動などを観察・測定することができます。
• 寒さから身を守る： 保育器内は、新生児や未熟児にとって適切な温度と湿度に保つことができます。 また、感染症や騒音（密閉式の保育器の場合）からも守ることができます。
  

  TSE medical社の保育器

保育器では、心拍数、呼吸数、血圧などの重要なパラメーターをモニタリングすることができます。 以下は主なパラメータです:

• 心拍数： 保育器では、心拍数を観察し、頻脈、徐脈などを発見することができます。 新生児の正常な心拍数は120～160bpmです。
• 呼吸数 : 新生児や未熟児の呼吸数は、出生時の呼吸窮迫症候群や無呼吸を治療するための、基本的なパラメータのひとつです。
• 血圧 : 血圧もまた重要なパラメータのひとつです。 心拍数や呼吸数と同様に、血圧が異常な数値になると、アラーム音で知らせます。 このアラームは、看護スタッフが常時するセントラルステーションにも送られます。
• 温度 :
  

  Ningbo David社のキャスター付き保育器

  新生児と未熟児の低体温症は、肺の病気を悪化させたり、成長に影響を与えたり、黄疸のリスクを高めたりする可能性があります。 超低出生体重児の場合、その影響はさらに深刻です。 密閉型保育器では、赤ちゃんの腹部や背中に温度プローブを当てることで、体温をモニタリングします。 熱は主に対流により運ばれます。 エアカーテンや頭からつま先までの空気の循環によって、暖かい空気が保育器内全体に運ばれます。 光線療法、直射日光、外気温でも、保育器内の温度を上げることができます。 開放型保育器は、ベッド上部に取り付けられているヒーターで温めます。 未熟児には使用しません。

• 血中酸素飽和度： 酸素飽和度（SpO2）センサを手または足に装着することで、血液を採取することなく、赤血球が運搬する酸素濃度を測定することができます。 血液中の酸素濃度の正常値は、PaO2が未熟児で50～70mmHg、満期産児で50～80mmHg、すなわちSpO2が未熟児で90～94％、満期産児で92～96％です。
• 脳の活動： 新生児の脳は、傷つきやすいです。 未熟児は、脳障害のリスクもあります。 大脳の発達と活動は、保育器を用いて観察することができます。 近年、MRI保育器が開発され、不安定な乳児や超未熟児の神経画像検査を、温度管理された環境で、心肺機能をモニタリングしながら安全に行うことができるようになりました。

保育器には、血圧モニターや無呼吸モニターなど、様々な機器が設置されています。

• 血圧/心肺モニター： 重要な血圧モニターは、乳児の血圧を連続的かつ非侵襲的に測定します。
• 無呼吸モニター : 無呼吸モニターは、呼吸不全の危険性がある乳児の呼吸停止を検出し、親や医療スタッフに警告することができます。 無呼吸の状態が長く続くと、体内の酸素濃度が低くなり、不可逆的な脳障害を引き起こし、長引けば死に至ります。 乳児の無呼吸が、設定した時間より長い場合、音声または画像で警告します。
• 光線療法ランプ : 出生時、新生児はビリルビン値が急激に上昇するため、黄疸を治療するために、光線療法を行います。 光線療法では、青色または白色の強い光を体に照射し、皮膚に吸収させます。 これにより、黄疸の進行を遅らせ、ビリルビン値を下げることができます。 治療は、保育器に設置されたランプまたはブランケットを介して行います。
  

  Heal Force社のキャスター付き保育器

• ヒーター： いくつかのモード（予熱モード、手動モードなど）がある温度制御システムを備えたヒーター（例えばインファントウォーマーなど）は、新生児を寒さから守り、適切な温度に保つことができます。 赤ちゃんに安定した温度環境を作り出すために、急速に温めたり、温める時間を短くするなどの調整ができます。
• シリンジポンプと輸液ポンプ： シリンジポンプは、輸液ポンプと注射器を使い、赤ちゃんに少量の薬液を輸液するために使用されます。
• 消耗品：
  • 中心静脈カテーテル : カテーテル先端を、中心静脈内に留置するカテーテルです。 新生児や未熟児に薬剤を投入したり、中心静脈圧を測定したりするために使われます。
  • 新生児気管挿管チューブ : 気管挿管は、呼吸困難の新生児によく行われる処置です。 臨床医は、挿入の深さの推定に様々な方法を用います。
  • 胃瘻チューブ: 未熟児の栄養補給には、点滴（非経口栄養）または胃瘻チューブ（経腸栄養）が使用されます。 胃瘻造設術は、腹部に穴を開け、外から胃に直接栄養を入れるための手術です。 保育器に装着された胃瘻チューブを挿入することで、栄養を赤ちゃんの胃に直接送ります。

インキュベーターには、密閉式と開放式があります。

• 閉鎖式保育器： 閉鎖式保育器は、フードで閉じられており、赤ちゃんが医療ケアを受けるための環境が整っています。 保護者や医療スタッフは、保育器に付いた窓から赤ちゃんに触れることができます。 保育器内では、温度や湿度などは、制御スクリーンで手動で調整するか、赤ちゃんの皮膚に取り付けられた皮膚センサで自動的に調整されます。 その他、マットレス、体重計、X線カセッテなどが装備されています。 また、ヒーター、温かい空気を循環させる電動式のファン、加湿用の水タンク、酸素が流れる機械式フィルター、治療のための開口部が含まれています。 細菌からの保護、光と音の低減、湿度管理が必要な新生児に最適です。 また、閉鎖式保育器には、熱と空気の損失を防ぐために壁が2重になっているものもあります（二重壁保育器）。 最新の閉鎖式保育器は、赤ちゃんとさらに触れ合うことができるようになっています。
• 開放式保育器： 開放式保育器は、「輻射式保育器（インファウォーマー）」とも呼ばれ、ベッドの上に赤外線ヒーターが設置されています。 医療スタッフが治療を行いやすい構造になっています。 このタイプの保育器は、主に一時的な保温と生命機能の確認が必要な乳児に適しています。 湿度をコントロールできず、空気中の細菌から赤ちゃんを守ることができないため、未熟児やより管理された環境を必要とする赤ちゃんには不向きです。

また、未熟児を短距離搬送するための搬送用保育器もあります。 車またはヘリコプターによる搬送に適したモデルもあります。 搬送用保育器には通常、小型人工呼吸器、心肺モニター、輸液ポンプ、パルスオキシメーター、酸素供給装置が付いています。

Ningbo David社のキャスター付き保育器

保育器の購入には、価格、寸法、使用に伴うリスクなど、考慮すべきポイントがいくつかあります。

以下は、保育器を購入する際のポイントです:

• 価格
• 寸法(運搬用保育器は、通常の保育器よりも小さい)
• 保育器に付いてる機器の種類
• 保育器の維持・運用費
• 閉鎖式保育器の場合、赤ちゃんと家族の間に壁を作る可能性があるということ
• 新生児に対するリスク（火傷、高体温症、転倒、感電など）

保育器には、コンセントタイプとバッテリータイプ（輸送用保育器の場合）があります。

停電が頻繁に起こり、保育器が使用できなくなる国もあるため、太陽電池駆動のモデルもあります。非常用電源として利用されている太陽エネルギーは、アフリカで特に早産児死亡防止のために利用されている、革新的な技術のひとつです。