血液凝固分析装置の選び方

血液凝固分析装置は、血液凝固因子を測定するための装置です。
出血や血栓症を引き起こす可能性のある患者さんには、積極的に血液凝固検査が行われます。

血液凝固分析装置を見る

  • 血液凝固分析装置にはどのような種類があるか?

    血液凝固分析装置の種類は、使用モード、チャンネル数、分析方法の3つから分類できます。

    • 使用モード
      1. 自動分析装置:全自動
      2. 半自動分析装置:サンプルの準備と配置に助手が必要となります。
    • チャンネル数:
      同時に処理できるサンプル数からも分類できます。 チャンネル数は、一般的に1~10チャンネルです。 例えば4チャンネルの場合、同時に4種類のサンプルの分析を行うことができます。
    • 分析方法:
      1. 凝固法:凝固は、液中に浮遊するコロイド粒子を集合させ、コロイドを形成させることで凝固します。
      2. 免疫学的手法:血液中の分子の濃度を、抗体または免疫グロブリンを用いて測定します。
      3. 合成基質法:凝固因子を検出する過程では、微生物の代謝により分解され発色する特定の発色基質を使用します。
      4. 免疫比濁法:血液と試薬から成る抗原抗体複合体の濁度を測ります。 方法は、分光光度計を使用し、抗原抗体複合体を通過する照射光の減衰を測定します。

    装置によっては、複数の分析モードが組み合わさったものもあります。

    堀場製作所自動血液凝固分析装置

    堀場製作所自動血液凝固分析装置

    血液凝固分析装置の分類基準:

    • 使用モード(自動または半自動)
    • 測定チャンネル数(同時に処理できるサンプル数)
    • 分析方法(凝固法、免疫学的手法合成基質法、免疫比濁法)
  • 血液凝固分析装置の検査項目とは?

    血液凝固分析装置は、凝固因子であるフィブリノゲン値、血小板数、出血時間などを測定できます。

    • フィブリノゲンまたは凝固第Ⅰ因子:フィブリノゲンは、肝臓で産生されるタンパクの一つで、血栓の形成に不可欠です。 血液凝固分析装置を使用することで、血液中のフィブリノゲンの量を測定できます。
    • 血小板数:血小板は、出血を止める血液細胞です。 血液1マイクロリットルあたりの血小板数を測定できます。
    • 血栓の縮小:血栓の体積の減少を測定できます。 血管が破れると、血小板は血栓を形成し、破れた部分を塞ぎます。 血栓は形成後除去され、血管は修復されます。
    • 凝固時間:周囲温度により12~18分かかります。 測定時の周囲温度は必ず明記しなければなりません。
    • プロトロンビン時間(PT):凝固因子の質と血液が固まるまでの時間を測定します。 測定機器の違いに関わらず、血液凝固阻止剤を使用している患者さんは、INR(国際標準比)値を測ることで、プロトロンビン時間と比較できます。
    • 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT):体内で血栓を形成する能力を検査します。 部分トロンボプラスチン時間(PTT)と同じ検査目的ですが、唯一の違いは、凝固時間を早める活性化剤で基準値の幅が小さくなります。
    • トロンビン時間(TT):フィブリノゲンの効力を測定します。

    これらの検査結果を総合して凝固図が作られます。

  • 血液凝固分析装置はどの用途に使用されるのか?

    血液凝固分析装置は、病気の検出、患者のモニタリング、あるいは手術前に使用されます。

    • 病気の検出:血友病、肝臓病、吸収不良などの病気の検出に使用されます。
    • 患者のモニタリング:血液凝固機能を変化させる可能性のある治療を受けている患者さんのモニタリングに使用されます。
    • 手術前:大量出血のリスクを防ぐために、手術前の患者さんに使用されます。

    TT値が低い場合(70%以下)は、肝機能障害(肝炎、肝硬変、黄疸)またはビタミンK欠乏症の可能性があります。

  • 血液凝固分析装置の設置タイプにはどのようなものがあるか?

    血液凝固分析装置の設置タイプには、一般的に卓上型と携帯型の2種類があります。

    • 卓上型分析装置コンパクトなため、実験台の上に置くことができます。
    • 携帯型分析装置持ち運び可能なため、特にポイントオブケア(POC)検査向きです。

    Dialab社の携帯型血液凝固分析装置

    Sysmex社のコンパクト血液凝固分析装置

    Diagon社の卓上型血液凝固分析装置

    Wiener Lab社の卓上型血液凝固分析装置

  • 血液凝固分析装置の価格について

    血液凝固分析装置の価格は、メーカーやブランド、検査タイプ、検査数により千ユーロから数万ユーロと様々です。

    例えば、半自動分析装置は、全自動モデルより安価です。

  • 血液凝固分析装置を使用する上での危険性について

    血液凝固分析装置の使用には、採血が必要です。そのため、穿刺する部位に血腫が生じることがありますが、これは数日以内に消えます。

  • 血液凝固分析装置のメンテナンスについて

    血液凝固分析装置は、ほとんどメンテナンスを必要としません。 自動品質管理システムを備えた装置もあります。

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