ステントを正しく選ぶには

ステントは、人体の空洞や血管を開いた状態に保つための医療器具です。一般的には、用途に応じてさまざまなサイズ、直径、構造、素材がある円筒形の金属構造です。

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  • ステントの取り付け方?

    Covidien - Medtronicのバルーンにより拡張されたステント

    Covidien – Medtronicのバルーンにより拡張されたステント

    ステントは、カテーテルを使い主に2種類の取り付け方があります:

    カテーテルのバルーンによって拡張されたステント:ステントは、局所麻酔下で血管形成術中に取り付けられます。 プローブは詰まった血管に運ばれ、狭窄した領域で小さなバルーンが膨らみ、血管壁にアテローム斑を押しつぶします。 バルーンを外すとステントは固定され、血管は広がった状態になります。

    COOK Medicalの自己拡張型ステント

    COOK Medicalの自己拡張型ステント

    自己拡張型ステント:バルーンなしで自己拡張能により血管壁に圧着します。 ステントが血管壁に圧着するとシースをはずします。そしてステントが拡がり血管が拡張されます。 ステントは血管を拡げた状態を保ちます。

  • ステントの主な素材は?

    ステントには金属性、コーティング、薬剤溶出性、生体吸収性、放射性の5つの種類があります。

    • 金属 : 一部のステントは金属のみでできています。
      • またステンレス鋼は、ステントに使用される最も一般的な素材です。 優れたX線可視性、弾力性と耐性の一貫性、また優れた生体適合性が特徴です。 このタイプのステントはバルーン挿入に非常に適しており、血管の突然閉鎖を防ぎます。 しかしMRIへの適合性の低さやニチノールステントよりも血管壁による創傷損傷のリスクが高いこと、耐食性が低く金属イオンが放出するなどの短所もあります。
      • コバルト合金:最も一般的なコバルト合金はコバルトクロムです。 これらのステントはスチール製のステントよりも強く、放射線不透過性が高です。 そのためステントのメッシュが小さくなり、血栓症のリスクを軽減することができます。 また生体適合性も良好ですが再狭窄をおこすリスクがあります。
      • ニッケルチタン合金:ニチノールとしてより一般的に知られているこの素材は、頸動脈ステントに非常によく見られ、自己拡張型ステントに使用されています。 多くの場合これらのステントは血管よりも直径が大きいため、血管壁に一定の圧力を加えることができます。 ニチノールの主な利点は、形状記憶素材で弾力性が高いことです。 酸化チタンで表面処理されているため、耐腐食性です。 しかしこのタイプのステントは抵抗力があり、X線不透明度が低いです。 金やタンタルのマーカーを使用することでこの点を改善できます。
    • コーティング:一部のステントには金属製の骨組みがあり、受動的また能動的なコーティングに分かれます。 受動的なコーティングは金、炭素、ポリマー、またセラミックで 受動的なコーティングは、ヘパリンやトロンボモジュリンなどの薬物です。
      しかしこのようなステントは、頸動脈ステントの金属ステントと比べ、実証済みの医療的効果はありません。
    • 生体吸収性ステント : これらのステントは特に生体適合性があります。 マグネシウム合金製ステント(ほとんどマグネシウム溶出なし)もあれば鉄合金製もあります。 ポリマー(PLLA)製ステントもありますが、金属ステントよりも柔らかく、狭窄や炎症のリスクがあります。
    • 放射性ステント:これらのステントは非常にまれで、小線源治療のみを目的としています。 放射性ステントには、
      • 荷電粒子に浴びせられた金属ステントや、すでに構造内に放射性同位元素が埋め込まれているステントなどがあります。
  • 薬剤溶出性ステントの利点は何か?

    Rontis Medicalの冠動脈薬物溶出性ステント

    Rontis Medicalの冠動脈薬物溶出性ステント

    特に薬物溶出性ステントは再狭窄のリスクを減らすことができます。金属ステント、活性薬物、および大半がポリマーでできている解放システムの3つから構成されています。
    ゆっくりと放出される薬剤は、通常シロリムスまたはパクリタキセルです。これらはランダム化比較試験結果に基づいたCEマークを取得済みです。

    ステントに沈着したこれらの抗有糸分裂剤、また抗炎症剤の目的は、内膜増殖の現象をその場でブロックすることです。薬剤溶出性ステントは、特に血管形成術や裸ステントの植え込み中の再狭窄の発症率を減少させます。

  • ステントを使用する上でのリスクは何か?

    ステントを取り付ける上でのリスクは、再狭窄、血餅形成、腎臓への負担、血管破裂などのリスクです。

    • 再狭窄:血管形成術中の血管に、再狭窄が起こることはごく一般的です。 薬物溶出性ステントは、このリスクを減少させる可能性が最も高いです(薬物溶出性ステントの利点の章を参照)。
    • 血栓形成:処置後にステント内に血栓が形成される場合があり、 血栓が血管を詰まらせる可能性があります。 そのため血栓のリスクを減少させる薬を服用することが重要です。
    • 腎臓への負担:ステントを取り付ける時の造影剤の使用により腎臓へ負担がかかる可能性がありますが、まれです。 特に腎不全の病歴を持つ患者に影響があります。
    • 挿入時の血管の破裂リスク:血管が弱いか薄すぎる場合に起こる可能性があります。 冠動脈ステントを使用する場合は、これらの合併症には緊急の冠動脈バイパス手術が必要になる可能性があります。
  • 再狭窄のリスクを抑える方法?

    ステントを取り付ける時に、再狭窄のリスクを抑えるにはいくつかの方法があります。その方法の一つが薬剤溶出性テントの使用です。

    ステントのサイズ、つまりその長さと幅、そしてステントのメッシュも重要です。過去20年間の技術の進化により、ステントも大きく進歩しました。昔のステントは柔軟性がなく、取り付ける時に問題を引き起こしていました。また抵抗が不十分なタイプのステントは、組織が脱出する可能性がありました。

    最近ではステントの物理的パラメーターが大幅に改善されました。特にステントの取り付け方が改善され、新しいメッシュはレントゲン下でより良いサポートと可視性が向上しています。よって処置の成功率は上がり、再狭窄発症率も減少しました。

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