断層撮影装置の選び方

断層撮影(トモグラフィー)とは、医療用画像処理技術の一つで、連続した断層から対象物を3次元に再構成できる技術です。医療用断層撮影装置には、主にMRIとCTスキャナの2種類があります。

断層撮影装置を見る

  • 断層撮影装置の主なシステム

    断層撮影装置には、主にMRIとCTスキャナの2種類があります。MRIとCTスキャナは、体の内部を断層画像で見ることができます。

    主な特徴 :

    • NMRI 核磁気共鳴画像法のことで、MRI(磁気共鳴映像法)とも呼ばれます。 MRIには2種類の検査方法があります:
      • 解剖学的MRI : この技術は、人体の水素原子(主に組織の水分や脂肪に含まれる)の磁気共鳴現象を測定します。 そのため、脊髄、脳、筋肉、腱、肝臓、腎臓、脾臓などの軟部組織の検査に特に適しています。
      • 機能的MRI:赤血球中の脱酸素化ヘモグロビンを測定することで、臓器の脱酸素化された血液の流れをモニターすることができます。 そのため、脳卒中や多発性硬化症、アルツハイマーの診断などに特に適しています。
    • CTスキャナ:英語のComputerized Tomography(CT)の略。 組織の断面画像を作成し、それをコンピュータ処理によって再構成します。 そのため、CT画像は3次元の画像となり、通常の2次元のX線よりも詳細な情報を得ることができます。
  • MRI装置について

    GE Healthcare社製のMRI

    GE Healthcare社製のMRI

    一般的なMRI装置は、強力な磁場を発生させる超電導コイル(液体窒素で冷却)、電波を取り込むためのアンテナ、コンピュータによる画像再構成システムなどで構成されています。

    MRIには、大きく分けて MRI+PETMRI+SPECTがあります。

    主な特長:

    • MRI + PET:その名の通り、一般的なMRIと陽電子放出断層撮影(英語ではPositron Emission Tomographyで、略してPET)を1つにしたシステム。 PETとは、あらかじめ注入した放射性医薬品から生じる陽電子の放出により、臓器の代謝活動を3次元的に映し出す技術です。 シンチグラフィーの原理に基づいており、放射性同位体トレーサーを注入することで、臓器の機能を画像化します。
    • MRI + SPECT : MRI装置と単一光子放射断層撮影(英語ではSingle photon emission computed tomographyで、略してSPECT)を組み合わせた技術で、腫瘍や神経学などの前臨床用途に使用されます。 SPECTは、CTスキャンとガンマ線を放出する放射性同位元素を組み合わせた核医学イメージング技術です。
  • CTスキャナについて

    シーメンスヘルシニアーズ社製のPET/CTスキャナ

    シーメンスヘルシニアーズ社製のPET/CTスキャナ

    CTスキャナは、従来のX線撮影と同様に、X線を放出する管球と、検出器で構成されています。 検出器が検出したX線の強度の差を測定します。 検査中、X線管と検出器は患者の体の周りを連続的に回転し、寝台は前方に移動します。 減弱したX線の測定は、異なる回転角度で行われます。 データはコンピュータに転送され、X線が透過する臓器の吸収率に応じて、黒、グレー、白の色合いを割り当て、画像を再構成します。

    CTスキャナには、大きく分けて「CTスキャナ+PET」と「CTスキャナ+SPECT」の2つのシステムがあります。 それぞれの特徴は次の通りです:

    • CTスキャナ+PET:CTスキャナで得られる解剖学的画像と、PETモジュールで得られる機能的画像を合成する装置です。 このような画像の組み合わせにより、病変や異常をより正確に特定することができます。 これにより、例えば放射線治療中のプロトコルの最適化、不必要な手術の回避、手術の効率化、生検などの侵襲的処置の必要性の最小化などが可能になります。
    • CTスキャナ+SPECT:CTスキャナとSPECTの正確な位置合わせと、完全な統合を実現した装置。 一般的には疾患(癌など)の経時的変化を特定・監視するために、さらに高いレベルの解像度となっています。
  • MRIの長所と短所

    日立ヘルスシステムズのオープンMRI

    日立ヘルスシステムズのオープンMRI

    MRIの長所と短所は以下の通りです:

    • MRIの長所:
      • 画質:MRIはX線検査に比べて鮮明な画像で、特に臓器や靭帯の損傷、椎間板ヘルニアなどの軟部組織の良質な画像が得られます。
    • MRIの短所
      • 費用:MRI検査は、X線検査よりも費用がかかります(機器の費用と維持費)。
      • 速さ:MRI検査は、X線検査(平均10分程度)に比べてはるかに時間がかかります(1時間以上かかることもあります)。
      • 騒音:MRIは、騒音が大きい傾向にあります。 患者さんには、騒音を軽減するための耳栓やヘッドフォンが渡されます。
      • 閉所恐怖症:オーンタイプのものもありますが、その狭いリング内に入ることで、不安や恐怖を感じる人もいます。
      • アーチファクト:MRI検査は精度が重要です。 そのため、患者さんが動くと、その動きのアーチファクトが発生し、ぼやけた画像になってしまいます。 処置中に指示された通りに、患者さんは注意深く呼吸をコントロールする必要があります。
  • CTスキャナの長所と短所

    フィリップスの大口径CTスキャナ

    フィリップスの大口径CTスキャナ

    MRIと比較したCTスキャナの主な長所と短所です:

    • CTスキャナの長所 :
      • 快適性:CTスキャナはMRIに比べてはるかに静かで、聴覚保護具を必要としません。 また、MRIよりもオープンな形状をしており、肥満の方にも適しています。
      • 速さ:MRIよりもはるかに速く結果が得られるため、緊急の診断の場合におすすめです。
    • CTスキャナの短所:
      • X線量:最大の欠点は、従来のX線検査の放射線量の約1000倍であることです。
  • MRI検査の前の注意点

    特に脊椎や全身のMRI検査を行う際には、事前にいくつかの注意事項があります。 ペースメーカーや金属製インプラントがある場合は、検査を受けられないことがあります。 注意点は以下の通りです :

    • 植え込み式ペースメーカー:一般的に植え込み式ペースメーカーを装着している患者さんは、MRIを受けることをおすすめしません。
    • 異物・金属製インプラント:金属製の異物やインプラント(椎弓根スクリュー、骨圧迫板、動脈瘤クリップ)を装着している患者さんは、MRI検査を受けることができません。 検査時に発生する磁気により、金属が外れる可能性があります。
    • 閉所恐怖症:重度の閉所恐怖症の患者さんは、MRI検査に耐えられない可能性があるため、MRI検査をおすすめできません。 しかし、MRIの中にはよりオープンなものもあり、恐怖感を軽減できるかもしれません。 また、医療用鎮静剤を投与することで、検査の負担を軽減することができます。
    • 刺青:大きくて濃い色の刺青がある場合は、金属成分が含まれている可能性があるため、MRI検査を受けない方がよいでしょう(強い磁気に敏感に反応するため)。
  • CT検査前の注意点

    CT検査ができない理由は、主に2つあります :

    • 妊娠中の女性:特に妊娠初期は、CT検査を行うことは避けなければなりません。胎児が放射線にさらされると、発育に大きな問題が生じる可能性があるからです。
    • 一生のうちに数多くのCT検査を受けなければならない場合は健康に危険を及ぼす可能性があります。
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